「ソラシドエア」「AIRDO」共同持ち株会社設立? / 元「アイ観光」倒産
Posted morimori / 2021.05.14 Friday / 23:39
ソラシドエア 宮崎空港にて
先日、宮崎市に本社がある「ソラシドエア」と札幌市に本社がある「AIRDO」が、来年度中をめどに共同持ち株会社の設立を検討していることが報道された。
ソラシドエアは、新型コロナウイルスの影響による大幅減便で、搭乗客数の低迷が長引き、昨年度の中間決算で54億円余りの過去最大の赤字となり、同じく業績悪化に苦しむ札幌市のエア・ドゥと共同で持ち株会社を設立する方向で調整を進めているようです。
ソラシドエア就航第一便の歓迎放水
ソラシドエアは2002年にスカイネットアジア航空(SNA)として宮崎と羽田を結ぶ路線で運航を始め、以来、「宮崎の翼」として空路の維持・発展に大きな役割を果たしてきただけに、気になるニュースです。
ソラシドエア
スカイネットアジア航空(SNA)
過去に書いたスカイネットアジア航空・ソラシドエア関連記事リンク
スカイネットアジア航空(ソラシドエア)関連は、過去に結構関連情報を書いてますので興味のある方は以下のリンク先ももご覧ください。➡ SNA スカイネットアジア航空(後に ソラシドエア) 関連話題Part1
➡ スカイネットアジア航空(後に ソラシドエア)関連話題Part2
➡ ソラシドエア(SolaSeedAir)ブランドに (スカイネットアジア航空・SNA)
➡ ソラシドエア航空機 SolaSeedAir JA801X B737-800 初フライト
【 6/1記事追記 】
ソラシドエアとエア・ドゥ 持ち株会社設立で基本合意
5月31日 「エア・ドゥ」と、「ソラシドエア」は、2022年10月をめどに共同で持ち株会社を設立することで基本合意したと発表。両社はブランドや路線網など経営の独立性は維持するとしてる。
共同持ち株会社を設立して経営を統合する一方で、それぞれの会社の経営の独立性を確保する背景には、「ドル箱路線」である羽田空港の発着枠を維持したいというねらいがある。
NHK宮崎ニュース記事より引用
羽田空港は、航空機の発着回数が制限される「混雑空港」に指定されていて、航空各社には多様な路線網や競争環境の確保などを考慮して発着できる回数が「発着枠」として配分されています。
現在は新型コロナウイルスの影響で航空需要が低迷していますが、本来、羽田空港と各地を結ぶ路線は航空各社にとって貴重な収益源です。
しかし、この「発着枠」は、航空会社が合併した場合、一部は国に返還しなければならないことが国土交通省の通達で定められています。
両社は31日の会見で共同持ち株会社を設立して経営を統合し業務の共通化を進める一方、それぞれのブランドや路線網、経営の独立性は確保することを強調しました。
両社の羽田空港の発着枠は現在、一日当たりエア・ドゥは23往復、ソラシドエアは25往復が配分されていて、これを維持したいというねらいがあります。
両社の発着枠の扱いについて国土交通省は、路線網やダイヤ、料金の設定などの観点から経営の独立性を保っているかなどを見極めて判断する方針です。
31日はソラシドエアの昨年度の決算も発表され、新型コロナウイルスの感染拡大で利用客が激減したため、過去最大の76億円余りの赤字となりました。
ソラシドエアが発表した決算資料によりますと、まずことし3月までの1年間の乗客数は65万9000人余りと前の年度から一挙に6割余りも落ち込みました。
需要の減少に合わせて減便を行ったものの追いつかず、搭乗率も34.9%とこちらも前の年度から29ポイント余り低くなりました。
この結果、売り上げに当たる「営業収入」は202億5500万円と前の年度の半分以下に落ち込み、最終的な損益は76億9400万円の赤字になりました。
ソラシドエアが赤字になるのは、前身のスカイネットアジア航空として経営再建中だった2006年度以来14年ぶりで、赤字額は過去最大です。
また、今年度の業績予想については「下半期になればワクチン接種が進んだ効果が期待できるものの、予想するのは困難だ」として公表を見送りました。
宮崎市で会見した高橋宏輔社長は「新型コロナの影響は一企業としてはどうしようもないレベルで『コロナがうらめしい』の一言に尽きる。『九州・沖縄の翼』として地域のために生き残れるよう、ありとあらゆる対策を取っていきたい」と話しました。
【 追記 】6月8日 知事定例記者会見より
知事:ソラシドエアは厳しい状況が続いていると認識している。コロナの感染状況の厳しさから、県としても県外との往来について原則不要不急のものは自粛をお願いしており、それが利用率に影響を及ぼしていると思われる。その中でなんとか県としても役割を果たしていきたいという思いの下に、ソラシドエアにエア・ドゥとの連携を進めていただいた。路線の維持や、ソラシドエアによるサービス維持への検討が進められていることに敬意を表したい。
県による直接的な支援は、財政的なことも考えると非常に難しい。感染状況の落ち着き具合を見て、第2波の後に行ったような利用促進キャンペーンなどによる支援事業に取り組みたい。
別件ですが・・
宮崎市貸し切りバス倒産 (元「アイ観光」のT商事)
帝国データバンク宮崎支店は、一般貸し切り旅客自動車運送業「T商事」(宮崎市佐土原町)が宮崎地裁から破産手続き開始決定を受けたと発表した。決定は4月28日付。負債総額は約1.5億円。資本金は3300万円。
同社は1991年に「アイ観光」の商号で設立。
2008年からは自社所有バスで宮崎−福岡の高速便の運行を始め、ピーク時の12年3月月期には約2億円の売上高を計上した。
しかし、昨年1月以降は感染拡大の影響でバス需要が低迷。今後の事業継続の見通しが立たなくなり、第三者に事業譲渡し今回の事態となったた。コロナ関連倒産は県内8例日。
「アイ観光」と言えば、アイあいライナーですね。
「アイ観光」アイあいライナー 2011年の広告より
福岡〜宮崎間の高速バスが最盛期だった頃、今から10年前、2011年5月に書いた当サイト内記事「宮崎福岡(博多)間格安(激安?)バス競争 Part2 2011年」を見ると、当時は6社が運行しておりました。
- フェニックス号 1日 25往復 (うち夜行便1往復) 宮崎交通
- 高速バス・たいよう 1日 10往復 ジェイアール九州バス株式会社
- サンマリンライナー 毎日6便 週末10便運行 サンマリンツアー株式会社
- アイあいライナー 一日 1〜2往復 アイ観光株式会社
- 福岡シティライナー 一日 2往復 (株)山口運送美登観光バス
- トラポータ・ライン 一日 4〜5往復 有限会社佐土原運送
インターネットで確認すると、数社は運行していないようです。
また、運行していても大幅減便となっているようです。
5年前、インバウンドに沸く 油津港にもアイ観光の貸し切バスの姿がありました。
アジア最大級の大型クルーズ船、Quantum of the Seas(クアンタム・オブ・ザ・シーズ)が2016年5月、油津港に入港した際の写真です。
Quantum of the Seas(クアンタム・オブ・ザ・シーズ)
2016年5月 油津港にて
2016年5月 油津港にて
2016年5月 油津港にて
待機するツアーバスはなんと110台!
くわしくは過去に書いた下記記事参照
Quantum of the Seas(クアンタム・オブ・ザ・シーズ)日南市油津港にて
もうこんな時代は来ないのだろう。
なんだか寂しいですね。
【 追記 】 宮崎県バス協会は6月4日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、協会加盟の貸し切りバス事業者29社のうち5社が昨年3月以降に休廃業したと明らかにした。
同協会の加盟者が保有する貸し切りバスの台数は、昨年3月以前の355台から305台に減少。休廃業に加え、各事業者が固定費抑制のために売却を進めたことが要因。(宮崎日日新聞より一部引用)
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