日々ブログ MORIMORI @宮崎県

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宮崎の神楽を描き続けた画家 弥勒祐徳(みろくすけのり)さん 死去

Posted morimori / 2024.05.18 Saturday / 06:32


宮崎県内各地に伝わる神楽や自然を描いてきた西都市の画家、弥勒祐徳(みろくすけのり)さんが、老衰のため、5月16日、お亡くなりになりました。105歳でした。

ご冥福をお祈り申しげます。

西都原古墳群にて

弥勒祐徳(みろくすけのり)氏 西都原古墳群にて
弥勒祐徳(みろくすけのり)氏 西都原古墳群にて (2007年4月5日撮影)


おそらくこの時描いていた絵は以下の「西都原の桜」2007 4.7 かも知れない。

西都原の桜」「絵が動く」 / 弥勒祐徳 2012年08月発売 石風社 より

著書「絵が動く」 / 弥勒祐徳 2012年08月発売 石風社 より


絵が動く / 弥勒祐徳


なぜ桜に惹かれるのか

 どうしてこうも桜に惹かれるのかと思うことがある。

 桜は年に一度だけ花を咲かせてくれる。その桜が西都原だけでも二、三十万の人達を呼び寄せる。何故こんなにも人を呼び寄せるのだろうか。桜以外の花でこんなにもたくさんの人が群がる花があるだろうか。考えても思い当たらない。桜には秘める理由が何かあるに違いない。
 毎年繰り返される春の花祭り。桜の木の下に人が群がる。その力は何であるか。色だろうか、香りだろうか、形だろうか。それだけではないだろう。桜よりもっと美しいものは沢山あるだろうから。それなのに群れをなして人が集まってくるのである。
 私はその魅力に惹かれて四十年も描き続けてきた。一日中描いても飽きることはない。描いても描いても描きつくせるものではない。
 人は樹の下に座して歌い、飲んで喰ってしても飽きない。陪くなってもやめよう上しない。
 枝は天空に向かって勢いよく伸びる。そこには他の樹木を寄せつけない生命力がみなぎっている。
 必死になってこの線を描くのだが難しい。でも近づくと花が話しかけてくる。
 枝の間から顔が見え隠れする。この顔を描くことで対話が始まる。人が群がる理由はここにあるのかもしれない。
 花が語りかけてくる。花が笑い出す。桜の花を見ているとこちらも笑い出したくなる。人の心を和らげてくれる。だから人が群がるのかもしれない。
 桜の花は私達に元気を与えてくれている。だから人に愛されるのだろう。
 この花を見ていると人間の一生と似ているような気がする。華やかさも悲しみも湛え、季節がくると全力で美を競ってくれる。物言わぬ桜は、色と香りと姿で私たちを引きつける。
 今年もまた沢山の人がこの桜の下に集まってきた。
 桜が笑う。桜との話は尽きない。
 絵が動く / 弥勒祐徳より



弥勒祐徳さん は、とても気さくな方でした。

弥勒さんは神楽でも何度もお会いしてます。
とても気さくな方で、2009年(平成21年)、西都市の銀鏡神楽でお会いした時は・・

写真を撮る私に、隣で絵を描く弥勒氏から
寒いですなぁー、焼酎のまんですかぁー」と、盃(湯呑)を頂いたのは懐かしい思い出です。

弥勒さんの著書「神楽を描く」

「神楽を描く 宮崎神楽紀行(1994年6月・鉱脈社)」
「神楽を描く 続(1998年2月・鉱脈社)」
は大変興味深く読みました。
絵もさることながら、神楽の紀行文はその当時の交通事情や神楽宿の様子が読み取れ、また、氏の神楽に対する想いも共感を覚えます。
今では絶えてしまった集落の神楽紀行なども貴重です。

神楽について詳しく書かれた内容の本ではありませんが、素朴な文章は、共感を覚えます。

弥勒祐徳(みろくすけのり)氏 著書「神楽を描く」
弥勒祐徳(みろくすけのり)氏 著書「神楽を描く」


弥勒祐徳氏の著書「神楽を描く」より一部引用

何故に神楽を措くのか。神楽とは何であるのか。私が今日まで措きつづけているのは何故なのか。神楽を措きながら私の心をかきたてるものは何であるのか。年に一度しかない神楽は村人にどんな意義があるのか。
 今日まで舞いつづけられていることも、生活の中に神楽が生きつづけたからだろう、そこに神楽の意義があると思う。神を迎え、神を送り、その夜は実に美しい。神々は夜に降りられ、夜明けとともに神の里に帰る。その間が夜神楽である。この山深い里に生きのこった民俗の祭りである。この祭りを私はどうしても絵にしたいと思った。それ以来神楽の絵に明け暮れている。どうすれば神楽が描けるだろうか。難しいことではあるが描きつづけることで神楽の何かが描けるではないのだろうかと思っている。
 神楽にむかって筆を走らせることにより、神楽は何であるかわかるような気がした。そうするより他に何があるだろうか。命のつづく限り描くより解決はないだろう。
日向の山々は、雨雲につつまれていた。神楽で会ったあの人は今日も元気だろうか。今年もお会い出来るだろうか。神々と一夜をすごした一年中で一番楽しい日がくるのもそう遠くない。


尾八重神楽にて(2007.11.22)

弥勒祐徳(みろくすけのり)氏 尾八重神楽にて
弥勒祐徳(みろくすけのり)氏 尾八重神楽にて (2007年11月22日撮影)


浦安の舞で着用している千早(ちはや)は弥勒祐徳さんが書いたものと、現地で聞いた記憶が・・

弥勒祐徳(みろくすけのり)氏の描いた千早(ちはや) 尾八重神楽にて
弥勒祐徳(みろくすけのり)氏の描いた千早(ちはや)
尾八重神楽にて (2007年11月22日撮影)



潮嶽(うしおだけ)神楽にて(2004.2.11)

弥勒祐徳(みろくすけのり)氏 潮嶽神楽にて
弥勒祐徳(みろくすけのり)氏 潮嶽神楽にて (2004年2月11日)


弥勒祐徳(みろくすけのり)氏 潮嶽神楽にて
弥勒祐徳(みろくすけのり)氏 潮嶽神楽にて (2004年2月11日)


宮崎県総合博物館 特別展 みやざきの神楽 −神々への感謝と祈り−にて

2020年10月17日(土)〜11月29日(日)に宮崎県総合博物館で開催された、特別展 みやざきの神楽 −神々への感謝と祈り−では、弥勒氏の神楽の絵は「第五章 次世代への継承」で紹介されていた。

宮崎県総合博物館 特別展 みやざきの神楽 −神々への感謝と祈り−
宮崎県総合博物館 特別展 みやざきの神楽 −神々への感謝と祈り−にて


宮崎県総合博物館 特別展 みやざきの神楽 −神々への感謝と祈り−(当時書いたブログ記事)


みやざきデジタルミュージアムより引用
彌勒 祐徳 ( ミロク スケノリ )
作家名 彌勒 祐徳
フリガナ ミロク スケノリ
生地 宮崎県西都市
生年 1919(大正8)
没年 2024(令和6)
宮崎県西都市に生まれる。旧制県立妻中学校卒業後、小学校教員や中学校の英語教師として勤務。昭和27年美術教師となり、本格的に絵を描き始める。昭和36年美術集団「ア−トクラブ青」を結成。同年県展(現宮日展)で特選を受賞。昭和52年には無鑑査となる。また同年県美展で文部大臣賞を受賞。昭和39年西都市で第1回個展を開催。その後東京紀伊国屋画廊企画の「人間シリ−ズ展」のほか、宮崎を中心に開いた個展の数は150回を超える。初期には蛾(が)を[モティーフ]に描いていたが、その後は「祭り」「神楽」「仏像」などを主題に西都の風俗を描いている。昭和56年第1回西都市文化功労賞、平成元年地域文化功労者、平成3年宮崎県文化賞受賞。木彫仏像や著作も数多い。



「桜が笑い出す」桜への思いを込めて描く105歳の画家  弥勒祐徳さん 新作が完成 MRTサイト(2024年4月11日(木) 12:46)
おそらく西都原での最後のお姿だったのかも知れない。


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