神楽全国組織「全国神楽継承・振興協議会」10月発足、ユネスコ無形文化遺産を目指す
Posted morimori / 2022.07.29 Friday / 23:14
高千穂の夜神楽(三田井・浅ヶ部神楽)注連口(しめぐち) 入鬼神
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宮崎県は7月27日、伝統芸能の神楽を将来に継承していくため、宮崎県など全国の自治体や神楽保存団体でつくる「全国神楽継承・振興協議会」を10月に発足させると発表しました。
これまで県はその神楽の魅力を広めるためユネスコの無形文化遺産への登録を目指して取り組みを進めていました。
こうした動きをさらに加速させようと県が神楽が盛んな各地の自治体などに呼びかけ神楽を将来に継承する全国組織として「全国神楽継承・振興協議会」を10月に発足させるもの。
本県からは国指定 米良神楽(銀鏡神楽)、高千穂の夜神楽、椎葉神楽、高原の神舞(かんめ)が参加
ユネスコ無形文化遺産(最短で)2026年度の登録を目指して活動
協議会には現在、国の重要無形民俗文化財に指定されている神楽40件のうち、19都道県、28の保存団体が参加を表明しているとのこと。未加入団体への呼びかけを継続しつつ、最短で2024年度にユネスコへ推薦書を提出、2026年度の登録を目指して活動する。
運営の中心を担う事務局は県文化財課が担うようです。
協議会の設立総会は10月11日、東京の国立能楽堂で開く。
神楽保存団体の代表者が正会員、自治体関係者が特別会員として参加する予定とのこと。
米良神楽(銀鏡神楽)地割
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椎葉神楽(嶽之枝尾神楽)宿借り
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高原の神舞(かんめ)(祓川神楽)十二人剱
高原の神舞(かんめ)(狭野神楽)御酔舞
- ➡ 銀鏡神楽(国指定:米良神楽)(米良神楽として唯一の単独指定)
昭和52年(1977年)、銀鏡神楽は、著名な「高千穂の夜神楽」等より先に、宮崎県内の神楽で初めて国の重要無形民俗文化財(登録名は「米良神楽」)に指定されました。
「高千穂の夜神楽」や「椎葉神楽」は集落全体の神楽を総しての指定ですが、「銀鏡神楽」は単独の神楽での指定です。
- ➡ 三田井・浅ヶ部神楽(国指定:高千穂の夜神楽)(高千穂町内19カ所に伝承)
「高千穂の夜神楽」が国指定無形民俗文化財に指定される前に、この浅ヶ部神楽が「高千穂神楽」として「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財(選択無形民俗文化財)」に登録されました。文化庁への指定申請の基調をなしたのがこの「浅ヶ部神楽」です。
- ➡ 嶽之枝尾神楽(国指定:椎葉神楽)(椎葉神楽は村内26地区に伝承)
- ➡ 祓川神楽(国指定:高原の神舞)
➡ 狭野神楽(国指定:高原の神舞)
「ユネスコ無形文化遺産」への取り組みは 大きな機運となることと思われます。
そういえば・・協議会の設立総会の行われる10月11日、以前、宮崎県サイトに、同日、国立能楽堂で開催予定の西米良神楽公演に関する企画提案競技の案内が掲載されておりました。
(現在、予定通り進行しているかは未確認です。)
(1) 日程 令和4年10月11日(火)13:30〜17:30(予定)
(2) 開催場所 国立能楽堂
(3) 会場定員 591名(新型コロナ感染症拡大防止のため変更することがある)
(4) プログラム構成
講演(30分程度)宮崎県内の神楽関係者等 1名
神楽公演(3時間程度)県内神楽団体(西米良村)による公演
平成4年(1992年) 204の保存継承団体があり、350集落で神楽を奉納
「みやざきの神楽ガイド」/ みやざきの神楽魅力発信委員会編(2017年発刊)によれば 平成4年(1992年)宮崎県教育委員会が行った民俗芸能調査によると平成4年時点で県内には、204の保存継承団体があり、350集落で神楽を奉納していたようです。(平成4年(1992年)・・・30年前のデーターです、その後、調査は行っていなのでしょうか? 現状は少なくなっているのではないでしょうか。)
以前もここで話題にしましたが、県文化財課が市町村教委などを通じ、神楽の実施状況を「例年通り」「規模を縮小」「開催せず」の3択で尋ねた結果、
昨年度、例年通りの神楽を奉納した県内の保存会は全体の約4分の1に当たる48団体だったようです。
新型コロナの感染防止で、神事のみ行い神楽奉納を断念したり、規模を縮小したり奉納する舞を少なくしたりしている保存会もあるようですが・・・。
おそらく途絶えた期間が数年続くと途絶えてしまう舞や、神楽奉納そのものが完全に途絶えてしまうところも出て来るかも知れません。
個人的には、神楽において「笛」の奏者がいなくなると継承が難しくなってきているのかなぁーと思ったりします。
もっと県民の方に神楽に興味をもってもらい、足を運んでくれるようなきっかけ作り、仕掛けも必要ではないでしょうか?
湖水ヶ池・水沼神社・日置神楽のこと・・
話は変りますが、新富町に「湖水ヶ池」という周囲1Km程の大きな池があり、毎年今の時期ハスの花が咲きます。ここのハスは一度に満開となるわけではなく、次から次へと咲きますので、一月程(お盆からお盆までとも言われている)楽しむことが出来ます。
水沼神社・湖水ヶ池のハス
池の畔の赤い社殿は「水沼神社」の本殿、湖水ヶ池は水沼神社の境内でもあります。
実は、先週から何度か、ハスの撮影に訪れております。
朝、散歩を兼ね境内を巡回してらっしゃるのでしょう「水沼神社」の宮司さんと二度お話をする機会がありました。
お話し好きなとても気さくな方です。
水沼神社には高鍋神楽系統の「日置神楽」が伝承されていたと思いますので、神楽の事についてもお聞きしてみました。
現在は数番を奉納、「面」の神楽は途絶えているとのことでした。
以前、このブログで紹介したことのある、宮崎民俗学会会長 前田博仁氏の著書比木神楽 百済王族祭祀と高鍋神楽の広がり / 前田博仁著 でも「日置神楽」が紹介されていました。
(この項目は、インターネット「miten」サイト内「みやざき風土記 /No.210 水沼神社の日置神楽」でも同様の内容を見ることが出来ます。)
日置地区の鎮守水沼神社の伶人を中心に保存団体を結成し、元旦祭や祖霊祭、春季・秋季大祭などのとき、水沼神社や紀伊神社、久家神社、日置神社などの地区内神社で奉納している。演目は御神楽、太神、敏伐、鬼神、将軍、振揚、獅子舞、手力雄、戸開雄など10番程度。
令和元年9月13日(旧暦八月十五夜)、新富町水沼神社夏祭りで神楽奉納があった。午前11時50分から神事、12時20分から神楽が奉納された。
とあり、令和元年に奉納された以下の7番が紹介されておりました。
1番 御神楽
2番 敏伐
3番 将軍
4番 鬼神
5番 手力雄
6番 振揚
7番 納め神楽
少なくとも「鬼神」「手力雄」はここ3年のうちに途絶えたのかも知れませんね。
是非復活してほしいものです。
【情報追記】
今年度も県主催の「神話のふるさと県民大学」が開講されます。
詳細・申し込み等はこちら(UMK AGENCY)をご覧下さい。各講座終了後4日後より、全講座、YouTubeで録画配信・ご視聴いただけるようです。(期限:令和5年3月31日まで)
神楽関連では・・
神楽学フォーラム「神楽を受け継ぐ各地の試みと実践」
令和5年1月21日(土) 13:30〜16:30講師:國學院大学教授 小川 直之氏
高千穂三田井神楽保存会 今村 康薦氏
大河内神楽保存会 梅北 実利氏
銀鏡神楽保存会 妹尾 翔平氏
秡川神楽保存会 園田 雄一郎氏
会場:企業局県電ホール
定員:90名
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