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「死都日本」 石黒耀 10年以上前のブログ記事再掲

Posted morimori / 2017.10.16 Monday / 23:32


オススメの本「死都日本」 石黒耀

霧島連山(画像加工)

下記は、10年以上前、2005/06/24 (金)に書いたブログ記事の再掲です。
「死都日本」はフィクションではありますが、ここのところ「新燃岳」「硫黄山」と霧島の火山が活発に活動しており、おりしも小説同様、選挙も重なっております。
読書の秋、意外に知らない火山、良く出来たストーリー、特に、宮崎・鹿児島にお住まいの方は読んでおきたい一冊です。

作者の 石黒耀(いしぐろあきら)氏は、宮崎医科大学に在学しておりました、宮崎在住した経験のある作者ならではの描写、馴染み深い土地名や、姓も出てきます。

それでは、2005/06/24 (金)に書いたブログ記事より転載



死都日本(にっぽん)」石黒耀(講談社)を読んだ。

出版年 : 2002.9 
ページ数等 :520P
ISBN : 4-06-211366-X

霧島連山 夕景


 発売されて数年、今更ながらという感もありますが、タイトルと大まかなストーリーだけは知っていたものの、読む機会がなかった訳ですが、先日来霧島山へ登り、火山を眺めていて、霧島の大噴火を扱ったこの小説が読みたくなり、先日、宮崎市の図書館で借りて来ました。

この本は未だに大人気のようで、予約してやっと借りれた次第、良かったので、その後、文庫本を購入しました。

 プロローグは、ローマ帝国ヘルクラネウムの悲劇、西暦79年火山の噴火から始まる。
この数ページのプロローグだけを読んだだけでもこの本に引き付けられてしまう描写は流石だ。

 日本列島全体で1万年に一度程度しか起きないはずの巨大噴火が、現実に霧島火山帯一帯で起きてしまう。

御鉢


霧島山は単に加久藤カルデラの一遍、一部の火山にしか過ぎない。

加久藤カルデラ
〜 [加久藤カルデラ]写真をクリックすると1600pixに拡大  〜


主人公らが、霧島から田野〜大戸野を超え、220号線〜鵜戸〜日南へと火砕流を逃れながら逃げ延びて来るというストーリーは場所、地名を良く知っているところという事もあり、手に汗握る大迫力。(このルートあたりです。
 精密にシミュレートした自然災害をテーマとした近未来長編小説は実にリアリティーあふれるものとなっている。

御鉢


プロローグ
|第1章 蠢動 |第2章 K作戦 |第3章 水蒸気爆発
|第4章 噴火 |第5章 恐怖の大王 |第6章 黄泉
|第7章 彷徨 |第8章 脱出 |第9章 ラハール |第10章 真理 |第11章 神の手
エピローグ

このストーリーは「古事記(日向神話)」と「ヨハネの黙示録」を重ねている事も更に興味深いものとなっております。

ベイエフエムの石黒耀氏のインタビュー記事で興味深いコメントがあります。
例えば、イザナミが火の神様を産んだときに死んでしまって黄泉の国に行くというエピソードも、火山の噴火でイザナミが山の母体と考えたら、噴火したことによって母体である山が無くなってしまう=死という解釈であったり、その黄泉の国に迎えに行ったイザナキが逃げてイザナミが追っかけて来た時というのが火砕流だったりとか、そのように考えていくと、つじつまが合うんですね。改めて古事記を読み直してみたりしているんですが、やはり日本の大昔にも、この小説に描かれているほどの災害があったんですね?

小説での登場人物の名前も興味深い。
黒木、岩切、日高、等、宮崎ではポピュラーな姓、随所に出て来る宮崎の“お国ことば”を含め、石黒耀氏はかなり宮崎を熟知しているな〜と思ってネットの百科事典ウィキペディアで石黒耀氏について少し調べてみると・・ なるほど、なるほど、宮崎で過ごされた時代があったのですね。どうりて詳しい訳だ。
 石黒耀(いしぐろあきら 1954年 - )は、作家・内科医。ペンネームは黒曜石からとったものである。 小・中・高と広島県で育つ。宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)卒。現在は大阪府で内科勤務医をしている。
少年時代より火山に魅了され、霧島噴火を扱った処女作『死都日本』でメフィスト賞を受賞した。
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